熱交換器とは?工場の排熱回収で省エネを進めるポイントを解説

工場では、ボイラー、乾燥機、加熱設備、排水処理など、さまざまな工程で熱が発生します。その熱をそのまま外へ逃がしている場合、エネルギーコストやCO2排出量の面で改善できる余地があるかもしれません。

そこで検討したいのが、熱交換器の導入です。熱交換器は、排ガスや排水などに含まれる熱を回収し、別の加熱や給湯、空調などに活用するための設備です。

この記事では、熱交換器メの役割や使われる場面、工場で排熱回収を進めるメリットをわかりやすく解説します。熱交換器をうまく取り入れたい方は、ぜひ最後までお読みください。

熱交換器とは

熱交換器は、工場や施設で発生する熱を別の用途に活用するための設備です。まずは、熱交換器の役割や仕組み、どのようなものに使われるのかを整理しておきましょう。

熱交換器の基本的な役割

熱交換器とは、温度の高い水や空気、排ガスなどから、温度の低い水や空気へ熱を移すための設備です。

たとえば、工場の排水や排ガスには、まだ利用できる熱が残っていることがあります。その熱をそのまま外へ捨ててしまうと、エネルギーを十分に活用できません。熱交換器を使えば、捨てられていた熱を回収し、給湯や予熱、空調、加熱工程などに再利用できる場合があります。

つまり、新しく熱を作るのではなく、すでに発生している熱を別の場所で使いやすくする設備です。工場の排熱回収や省エネ対策を考えるうえで、重要な役割を持っています。

熱が移動する仕組み

熱は、温度の高いものから低いものへ移動する性質があります。熱交換器は、この性質を利用して熱を移す設備です。

多くの熱交換器では、高温側の流体と低温側の流体を直接混ぜるのではなく、金属の管や板を介して熱を伝えます。たとえば、高温の排水が管の内側を流れ、その外側を冷たい水が流れると、排水の熱が金属を通じて冷たい水へ移動します。

この仕組みによって、排水と清水、排ガスと空気などを分けたまま、熱だけを受け渡すことができます。工場では、扱う流体の種類や温度、汚れやすさによって、適した熱交換器の種類が変わります。

熱交換の対象となる流体

熱交換器で扱う対象は、水だけではありません。工場や施設では、温水、冷水、空気、蒸気、排ガス、排水、油など、さまざまな流体が熱交換の対象になります。

たとえば、ボイラーを使う現場では、排ガスの熱を回収して給水や空気の予熱に使うことがあります。食品工場やクリーニング工場では、温かい排水の熱を回収し、洗浄水や給湯に再利用できる場合があります。温浴施設では、排水に残った熱を活用して、新たに使う水の加温を補助することもあります。

このように、熱交換器は現場で発生している熱を見直し、エネルギーを無駄なく使うために活用されます。どの流体から熱を回収し、どこに再利用するのかを整理することが、排熱回収を検討する第一歩になります。

活用される主な現場

熱交換器は、熱を使う工程や温かい排水・排ガスが発生する現場で活用されます。ここでは、排熱回収を検討しやすい代表的な現場を見ていきましょう。

食品工場

食品工場では、洗浄、殺菌、加熱、乾燥などの工程で多くの熱を使います。また、温かい排水や蒸気、排気が発生することもあり、その熱をそのまま捨てているケースもあります。

熱交換器を使えば、排水や排気に残った熱を回収し、洗浄水の予熱や給湯、加熱工程の補助などに活用できる場合があります。たとえば、冷たい水を一から温めるのではなく、排熱であらかじめ温度を上げておけば、ボイラーやヒーターの負荷を抑えやすくなります。

食品工場では衛生管理も重要なため、熱を回収する対象や設備の構造、清掃のしやすさを確認しながら導入を検討することが大切です。

クリーニング工場

クリーニング工場では、洗浄や乾燥の工程で温水や熱風を使用します。そのため、排水や排気に熱が残りやすく、排熱回収を検討しやすい現場の一つです。

たとえば、洗浄後の温かい排水から熱を回収し、新しく使う水の予熱に活用できれば、加熱に使うエネルギーを抑えられる可能性があります。また、乾燥工程で発生する排気の熱を再利用できれば、工場全体のエネルギー効率の見直しにもつながります。

ただし、排水には汚れや洗剤成分が含まれることがあるため、熱交換器を選ぶ際は、詰まりにくさやメンテナンス性も確認しておく必要があります。

温浴施設・温泉施設

温浴施設や温泉施設では、大量のお湯を使うため、排水にも多くの熱が残っています。浴槽から排出されるお湯や使用後の温水をそのまま流している場合、熱エネルギーを有効活用できていない可能性があります。

熱交換器を導入すると、排水に含まれる熱を回収し、新しく補給する水の加温や給湯の補助に利用できる場合があります。水を一から温めるよりも、あらかじめ排熱で温度を上げておくことで、ボイラーや給湯設備の負担を軽減しやすくなります。

温泉施設では、温泉成分や汚れによって設備に負荷がかかることもあるため、材質や清掃方法、長く使える構造かどうかを確認することが重要です。

ボイラーを使う製造現場

ボイラーを使う製造現場では、燃料を使って蒸気や温水を作ります。その一方で、排ガスやドレン、温排水などに熱が残っていることがあります。

熱交換器を使えば、排ガスの熱を回収して給水や燃焼用空気の予熱に活用したり、温排水の熱を別の工程に再利用したりできる場合があります。これにより、ボイラーで新たに加える熱量を抑えやすくなり、燃料使用量の見直しにつながります。

燃料費の高騰や省エネ対応が課題になっている工場では、ボイラー周辺の排熱を確認することが改善のきっかけになります。既存設備をすぐに入れ替えるのではなく、排熱をどう活用できるかを見直すことで、現場に合った省エネ対策を検討しやすくなります。

工場で排熱回収を進めるメリット

工場で発生する熱をそのまま捨てている場合、エネルギーの使い方を見直せる可能性があります。排熱回収は、燃料費や電気代の削減だけでなく、既存設備の効率化や環境対応にもつながる取り組みです。

エネルギーコストを見直せる

排熱回収を進める大きなメリットは、エネルギーコストの見直しにつながることです。

工場では、水や空気を温めるためにボイラー、ヒーター、乾燥機などを使うことがあります。その一方で、排水や排ガス、排気などには、まだ利用できる熱が残っている場合があります。熱交換器を使ってその熱を回収できれば、新たに加える熱量を抑えやすくなります。

たとえば、冷たい水を一から加熱するのではなく、排熱であらかじめ温度を上げておけば、ボイラーやヒーターにかかる負荷を軽減できます。燃料や電力の使用量を抑えられる可能性があるため、エネルギー価格の高騰に悩む工場にとって、排熱回収は検討しやすい省エネ対策の一つです。

既存設備の効率を高められる

既存設備の効率を高める方法としても有効です。省エネ対策というと、設備を大きく入れ替えるイメージを持つかもしれませんが、熱交換器は既存のボイラー、給湯設備、加熱工程などと組み合わせて使える場合があります。

たとえば、排ガスの熱を回収して燃焼用空気を予熱したり、温排水の熱を新しく使う水に移したりすることで、今ある設備の働きを補助できます。設備全体を一度に更新するのが難しい中小規模の工場でも、排熱の流れを見直すことで、段階的に効率化を進めやすくなります。

また、熱の使い道を整理することは、現場の業務改善にもつながります。どの工程で熱を使っているのか、どこで熱を捨てているのかを把握することで、エネルギーの無駄が見えやすくなります。

CO2排出量の削減につながる

CO2排出量の削減にもつながります。工場で使う燃料や電力を抑えられれば、その分だけ環境負荷の低減が期待できます。

近年は、取引先やサプライチェーン全体で脱炭素への対応を求められる場面も増えています。大がかりな設備投資だけでなく、現場で発生している熱を再利用することも、取り組みやすい省エネ対策の一つです。

特に、排ガスや排水、温水などを継続的に排出している工場では、排熱回収によって省エネと環境対応を同時に進められる可能性があります。自社の現場で捨てている熱がある場合は、熱交換器の導入を検討してみるとよいでしょう。

排熱回収を具体的に進める際は、排ガスや排水の温度、流量、汚れやすさ、設置スペースなどを踏まえて、現場に合う設備を選ぶことが大切です。排熱回収に対応した熱交換器メーカーへ相談すれば、自社の条件に合わせた省エネ対策を検討しやすくなります。

>>熱交換器メーカーをチェックしてみる

まとめ|熱交換器を活用して工場の排熱を見直そう

熱交換器は、工場で発生する排水や排ガスなどの熱を回収し、別の工程で活用するための設備です。これまで外へ逃がしていた熱を再利用できれば、エネルギーコストの見直しや既存設備の効率化、CO2排出量の削減につながる可能性があります。

まずは、自社の現場で「どこから熱が出ているのか」「その熱を再利用できる工程はないか」を確認してみましょう。排熱の温度や流量、汚れやすさによって適した設備は変わるため、導入を検討する際は、現場に合う熱交換器を相談できるメーカーに相談することが大切です。