現場の業務効率化を進めたいと思っていても、「何から手をつければよいのか分からない」と感じる担当者の方もいるでしょう。日々の作業に追われていると、どの作業にどれだけ時間がかかっているのか、どこで確認や手戻りが発生しているのかを把握しにくいものです。
業務効率化を進めるには、まず現場のムダがどこで生まれているのかを確認することが大切です。原因を整理すると、改善すべき業務の優先順位を決めやすくなります。
そこで本記事では、業務のムダが生まれる主な原因や、現場業務を改善する優先順位を解説します。自社の業務効率化を図りたい方は、ぜひ参考にしてください。
業務のムダが生まれる主な原因
現場の業務効率化を進めるには、まずどこでムダが発生しているのかを確認する必要があります。ここでは、業務のムダが生まれやすい主な原因を見ていきましょう。
同じ内容を何度も入力している
同じ内容を何度も入力している業務は、ムダが生まれやすいポイントです。紙に書いた内容をExcelへ転記したり、別々の管理表に同じ情報を入力したりしていると、その分だけ作業時間が増えてしまいます。
たとえば、現場で記入した作業日報を事務担当者がExcelに入力し直している場合、日報を作る人と転記する人の両方に負担がかかります。さらに、転記時に数字や品番を間違えると、確認や修正の作業も発生します。
二重入力が多い業務は、作業時間だけでなく、ミスや手戻りの原因にもなります。どの情報をどこに入力しているのかを確認し、同じ情報を繰り返し扱っていないか見直すことが大切です。
確認や承認で作業が止まっている
確認や承認の流れが曖昧な業務も、ムダが発生しやすい部分です。担当者が次の作業に進みたくても、上長の確認や別部署からの返答を待つ時間が長いと、業務全体の流れが止まってしまいます。
たとえば、見積書の確認、発注内容の承認、在庫状況の問い合わせなどで、誰に確認すればよいのか、いつ返答がもらえるのかが分からない状態だと、担当者は何度も連絡を取る必要があります。その結果、本来の作業よりも確認作業に時間を取られてしまいます。
確認や承認は必要な業務ですが、流れが複雑すぎると効率を下げる原因になります。誰が確認するのか、どのタイミングで承認するのか、どこで情報を共有するのかを整理することで、待ち時間や確認の手間を減らしやすくなります。
担当者しか分からない作業がある
担当者しか分からない作業が多いと、業務が属人化し、ムダが生まれやすくなります。特定の人だけが手順や判断基準を知っている状態では、その人が不在のときに作業が止まったり、周囲が確認に時間を取られたりするためです。
たとえば、在庫表の更新ルール、取引先ごとの対応方法、過去のトラブル対応、よく使う資料の保管場所などが担当者の頭の中だけにあると、他の人はすぐに対応できません。急ぎの確認が必要になったときも、担当者に聞かなければ分からないため、業務全体が滞ることがあります。
属人化した業務は、普段は問題に見えにくいものです。しかし、担当者の休みや異動、業務量の増加をきっかけに大きな負担になることがあります。手順や判断基準を共有できる形にしておくことで、確認の手間を減らし、現場全体で業務を進めやすくなります。
現場業務を見える化する方法
業務のムダを見つけるには、現場で行われている作業を見える状態にすることが重要です。作業内容や所要時間、情報の流れが分からないままでは、どこに非効率があるのか判断しにくくなります。
ここでは、現場業務を見える化するための基本的な方法を紹介します。
毎日行っている作業を書き出す
現場業務を見える化するには、まず毎日行っている作業を書き出すことから始めます。頭の中では分かっているつもりでも、実際に書き出してみると、細かな確認作業や記録作業が多いことに気づく場合があります。
たとえば、日報の記入、在庫確認、発注依頼、見積書の確認、メール返信、電話連絡、書類の回覧など、日常的に発生している作業をできるだけ具体的に整理します。このとき、担当者ごとに作業を書き出すと、誰にどの業務が集中しているのかも見えやすくなります。
まずは1日の流れや1週間の業務を振り返り、繰り返し発生している作業を把握することが大切です。作業を一覧にすることで、改善すべき業務を見つける土台ができます。
時間がかかっている作業を探す
作業を書き出したら、次に時間がかかっている作業を探します。業務効率化では、負担の大きい作業を見つけることが重要です。短い作業でも毎日何度も発生していれば、全体では大きな時間を使っている可能性があります。
たとえば、在庫数を確認するために倉庫へ見に行く、承認者に何度も連絡する、紙の内容をExcelに転記する、過去の資料を探すといった作業は、積み重なると大きな負担になります。担当者に聞き取りを行い、「時間がかかっている作業」「面倒に感じている作業」「後回しになりやすい作業」を確認すると、ムダを見つけやすくなります。
人や部署をまたぐ作業を確認する
現場業務を見える化するときは、人や部署をまたぐ作業も確認しておきましょう。複数の担当者や部署が関わる業務では、情報共有の遅れや確認待ちが発生しやすいためです。
たとえば、営業が受けた注文内容を倉庫に伝え、在庫を確認してから購買や配送担当へ共有するような業務では、情報の受け渡しが何度も発生します。どこかで共有が遅れたり、内容に誤りがあったりすると、納期確認や再連絡、手戻りにつながります。
人や部署をまたぐ作業は、作業そのものよりも情報の流れにムダが隠れていることがあります。誰から誰へ、どの情報を、どのタイミングで渡しているのかを整理することで、確認作業や待ち時間を減らす改善につなげやすくなります。
改善する業務の優先順位
現場業務を見える化すると、複数のムダや課題が見つかることがあります。ただし、すべてを一度に改善しようとすると、現場の負担が増え、かえって定着しにくくなる場合があります。
ここでは、改善する業務の優先順位を決める考え方を紹介します。
回数が多い作業を優先する
業務効率化では、回数が多い作業から見直すと効果を実感しやすくなります。1回あたりの作業時間が短くても、毎日何度も発生している作業であれば、積み重なると大きな負担になるためです。
たとえば、在庫数の確認、日報の記入、定型メールの作成、作業予定の共有、承認依頼の連絡などは、日常的に繰り返されることが多い業務です。こうした作業に毎回数分かかっている場合でも、担当者や件数が増えるほど、現場全体では多くの時間を使っている可能性があります。
まずは、毎日または毎週発生している作業の中から、回数が多いものを確認してみましょう。頻度の高い作業を少し改善するだけでも、現場の負担を減らしやすくなります。
ミスや手戻りが多い作業を見直す
ミスや手戻りが多い作業も、優先して見直したい業務です。入力間違いや確認漏れ、伝達ミスが起こると、修正や再確認に時間がかかり、他の作業にも影響が出やすくなります。
たとえば、紙の内容をExcelに転記する作業で数字を間違えると、在庫数や発注数の確認が必要になります。注文内容の共有に漏れがあると、納期調整や再連絡が発生することもあります。このような手戻りは、担当者の負担だけでなく、顧客対応や社内連携にも影響します。
ミスが起こりやすい業務は、作業手順や情報共有の方法に原因がある場合があります。どの作業で間違いが起きているのか、なぜ修正が発生しているのかを確認することで、改善すべきポイントを見つけやすくなるでしょう。
関連記事:紙・Excel管理の限界とは?現場DXで業務を見直す進め方
小さく試せる作業から始める
改善を進めるときは、小さく試せる作業から始めることも大切です。いきなり大きな業務フローを変えると、関係者が多くなり、調整や教育に時間がかかるためです。
たとえば、1つの帳票を入力フォームに変える、特定の確認作業だけ共有表にまとめる、定型メールの文面をテンプレート化するなど、範囲を絞って試す方法があります。小さく始めれば、現場の反応や改善効果を確認しながら進められます。
最初の改善で大切なのは、現場で続けられるか、作業時間が減ったか、確認回数が減ったかを確認しながら、必要に応じて見直すことです。小さな改善を積み重ねることで、無理なく業務効率化を進めやすくなります。
まとめ
現場の業務効率化は、いきなりツールを導入することから始めるのではなく、まず業務のムダを見つけることが大切です。同じ内容の二重入力や確認待ち、担当者しか分からない作業が残っていると、作業時間の増加やミス、手戻りにつながりやすくなります。
まずは、毎日行っている作業を書き出し、時間がかかっている作業や人・部署をまたぐ作業を確認してみましょう。業務の流れを見える化することで、どこにムダがあるのか、どの作業を優先して見直すべきか判断しやすくなります。
改善を進めるときは、回数が多い作業やミスが起こりやすい作業から着手すると効果を確認しやすくなります。最初から大きく変えようとせず、1つの帳票や確認作業など、小さく試せる業務から始めてみてください。