サプライチェーン管理(SCM)とは?調達・在庫・物流の流れをわかりやすく解説

調達・在庫・物流など、商品が顧客に届くまでの流れを管理する考え方を、サプライチェーン管理といいます。それぞれ別の業務をひとつの流れとして捉えることで、欠品や過剰在庫、納期遅れなどの原因を見つけやすくなります。

現場では、発注状況は購買部門、在庫数は倉庫、配送状況は物流担当というように、情報が分かれて管理されていることがあります。それでは必要な商品がいつ入るのか、今どれだけ在庫があるのか、いつ届けられるのかの確認に時間がかかってしまいます。

そこで本記事では、共有すべき情報や全体の流れを見直すポイントを解説します。自社の業務でどこにムダや遅れが生じているのかを見直したい方は、ぜひ参考にしてください。

調達・在庫・物流がつながらないと起こること

調達・在庫・物流は、それぞれ別の業務に見えますが、実際には深く関係しています。ここでは、調達・在庫・物流がつながっていないときに起こりやすい問題を見ていきましょう。

発注が遅れて欠品

調達と在庫の情報がつながっていないと、発注の遅れによって欠品が起こりやすくなります。在庫が少なくなっていることに気づくのが遅れたり、発注の判断が担当者の経験に頼っていたりすると、必要なタイミングで商品を補充できないためです。

欠品が起こると、販売機会の損失だけでなく、顧客への納期調整や代替商品の提案など、追加の対応も発生します。発注を適切なタイミングで行うには、在庫数や出荷予定、仕入れ先のリードタイムを共有できる状態にしておくことが重要です。

多めの仕入れで過剰在庫が増加

調達と販売・在庫の情報がうまくつながっていないと、多めに仕入れすぎて過剰在庫が増えることもあります。欠品を避けたい気持ちから余裕を持って発注しても、実際の販売状況や保管スペースを考慮できていなければ、在庫が積み上がってしまう可能性があるでしょう。

保管期間が長くなれば、スペースを圧迫し、管理作業も増えます。食品や期限のある商品であれば、廃棄や値下げする必要があるかもしれません。

過剰在庫は、保管コストや資金繰りの負担、棚卸し作業の増加にもつながります。必要以上に仕入れすぎないためには、在庫数だけでなく、販売見込みや出荷予定、倉庫の保管状況もあわせて確認することが大切です。

納期確認に時間がかかる

納期確認にも時間がかかります。商品がいつ入荷するのか、現在どこにあるのか、いつ出荷できるのかを確認するために、複数の部署へ問い合わせる必要が出てくるためです。

たとえば、営業担当が顧客から納期を聞かれた場合、まず在庫担当に在庫数を確認し、在庫がなければ購買担当に入荷予定を確認し、さらに物流担当に出荷可能日を確認することになります。それぞれの情報が別々に管理されていると、回答までに時間がかかり、顧客対応も遅れます。

納期確認に時間がかかる状態は、社内の確認作業を増やすだけでなく、顧客満足度にも影響します。調達・在庫・物流の情報を共有できていれば、関係者が同じ情報をもとに判断しやすくなります。納期回答を早くするためにも、商品の流れを部署ごとに分断せず、全体で見られる状態を整えておきたいものです。

共有すべき3つの情報

ここでは、サプライチェーン全体の流れを把握するために、まずどの部署でも共有しておきたい情報を整理します。

仕入れ先や発注状況

まず共有したいのは、仕入れ先や発注状況に関する情報です。どの商品を、どの仕入れ先に、いつ発注したのかが分からないと、入荷予定や在庫補充の見通しを立てにくくなります。

たとえば、購買担当だけが発注状況を把握している場合、倉庫や営業担当は「いつ商品が入ってくるのか」をすぐに確認できません。欠品が起きそうな場面でも、入荷予定が共有されていなければ、顧客への納期回答や代替提案が遅れてしまいます。

仕入れ先ごとの納期、発注日、入荷予定日、発注数量などを共有できる状態にしておくと、関係者が先回りして対応しやすくなります。調達情報を見えるようにすることは、欠品や納期遅れを防ぐための土台になります。

在庫数や入出庫の動き

次に共有すべきなのは、現在の在庫数や入出庫の動きです。在庫情報が正しく共有されていないと、発注・販売・出荷の判断にズレが生じやすくなります。

たとえば、倉庫では在庫が少なくなっているのに、営業側では古い在庫数を見て受注してしまうことがあります。反対に、実際には在庫があるのに、管理表の更新が遅れているために追加発注してしまうケースもあります。

在庫数だけでなく、いつ入庫したのか、いつ出庫したのか、どの商品がどれだけ動いたのかを確認できる状態にしておくと、在庫差異や過剰発注を防ぎやすくなります。入出庫の動きが共有されていれば、現場の状況をもとにした判断がしやすくなります。

配送状況や納期の見込み

配送状況や納期の見込みも、共有しておきたい重要な情報です。商品が出荷されたのか、どこまで配送が進んでいるのか、いつ届く見込みなのかが分からないと、顧客対応や社内調整に時間がかかります。

たとえば、商品は出荷済みでも、配送状況が営業やカスタマー対応の担当者に共有されていなければ、顧客から問い合わせがあったときに物流担当へ確認する必要があります。確認に時間がかかるほど、回答も遅れてしまいます。

配送予定日、出荷日、配送状況、納品予定日などを共有できる状態にしておくと、納期回答がしやすくなります。調達・在庫・物流の情報をつなげることで、商品がどこにあり、いつ届けられるのかを把握しやすくなるでしょう。

全体の流れを見直すポイント

調達・在庫・物流の情報を共有するには、まず現在の管理方法を把握する必要があります。ここでは、全体の流れを見直すときに確認したいポイントを整理します。

部署ごとの管理表を確認する

まず部署ごとの管理表を確認することが大切です。調達・在庫・物流の情報が、別々のExcelやシステムで管理されていると、どこに最新情報があるのか分かりにくくなるためです。

たとえば、購買部門は発注管理表、倉庫は在庫管理表、物流担当は配送予定表をそれぞれ使っている場合があります。各部署では問題なく管理できているように見えても、情報が連携していなければ、入荷予定や在庫数、配送状況をまとめて確認するのに時間がかかります。

まずは、どの部署が、どの情報を、どの形式で管理しているのかを洗い出しましょう。管理表の項目や更新担当者を確認することで、情報が重複している部分や、抜けている情報に気づきやすくなります。

情報の更新タイミングをそろえる

管理表を確認したら、情報の更新タイミングも見直す必要があります。部署ごとに更新のタイミングが異なると、同じ商品でも見ている情報にズレが生じやすくなるためです。

たとえば、倉庫では出庫後すぐに在庫数を更新している一方で、購買部門では1日の終わりに発注状況をまとめて更新しているとします。この場合、日中の時点では在庫数と発注状況が一致せず、判断に迷うことがあります。

更新タイミングをそろえるには、入荷時、出荷時、発注時、配送手配時など、情報が変わるタイミングを明確にすることが重要です。誰が、いつ、どの情報を更新するのかを決めておくことで、関係者が同じ情報をもとに判断しやすくなります。

欠品や遅延が起きた原因をたどる

全体の流れを改善するには、欠品や遅延が起きたときに原因をたどることも重要です。目の前のトラブルだけを処理していると、同じ問題が繰り返される可能性があります。

発注のタイミングが遅かったのか、仕入れ先の納期がずれたのか、出庫予定が共有されていなかったのかによって、見直すべき場所は変わります。

配送遅延も同様です。物流担当だけの問題として考えるのではなく、出荷指示の遅れ、在庫確認の遅れ、配送手配のタイミングなど、前後の流れまで確認する必要があります。

まとめ

サプライチェーン管理では、調達・在庫・物流を別々に考えるのではなく、商品が届くまでの流れとして見ることが大切です。情報が分断されていると、欠品や過剰在庫、納期確認の遅れなどが起こりやすくなります。

まずは、自社で発注状況・在庫数・配送状況がどこで管理されているのかを確認してみましょう。部署ごとに管理表や更新タイミングが分かれている場合は、情報のズレや確認作業が発生している可能性があります。

調達・在庫・物流の流れを見直すときは、欠品や遅延が起きた商品を1つ選び、どの工程で情報が止まったのかをたどることから始めてみてください。

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