工場で使用するコンプレッサーでは、圧縮した空気が配管や継手、接続した機器などから漏れることがあります。少量の漏れは設備の稼働音に紛れ、気づきにくい場合もあります。
エア漏れがある状態では、実際の作業に使われない圧縮空気を補うためにコンプレッサーが稼働することになります。そのため、エア漏れは設備の状態を確認するだけでなく、エネルギーの使い方を見直すうえでも確認したいポイントです。
対策では、漏れている箇所を見つけて終わりにせず、「見つける→記録する→対応する→再確認する」という流れを作ることが重要です。
この記事では、コンプレッサーのエア漏れが起こりやすい箇所や点検時の見つけ方、継続して改善するための管理方法を解説します。
コンプレッサーのエア漏れはどこで起こるのか
コンプレッサーで作られた圧縮空気は、配管を通って工場内の設備や工具などへ供給されます。エア漏れを確認するときはコンプレッサー本体だけを見るのではなく、配管や接続部分、圧縮空気を使用する機器まで含めて確認することがポイントです。
配管や継手などの接続部分
エア漏れを確認するときは、コンプレッサー本体だけでなく、圧縮空気を送る経路全体に目を向けます。配管の接続部や継手、チューブなどは確認対象の一つです。また、生産設備側のエアシリンダーなど、圧縮空気を使用する機器でも漏れが生じる場合があります。
そのため、「コンプレッサー本体に異常がなければ問題ない」と考えるのは避けたいところです。圧縮空気を作る設備から実際に使用する場所まで、一つの系統として捉える必要があります。
どの配管や設備を確認したのか分かるように、設備名や管理番号などと点検結果を結び付けておくと、その後の確認にも活用しやすくなります。
小さな漏れは見過ごしやすい
大きなエア漏れであれば音などから気づく場合がありますが、工場内では周囲の設備も稼働しているため、音だけでは把握しにくいことがあります。
エア漏れを調べる方法には、配管系統を巡回して確認する方法や、漏れの検知に対応した測定機器を利用する方法があります。どの方法が適しているかは、現場の騒音や配管の位置、設備の稼働状況などによって変わります。
ここでの誤解は、「音が聞こえなければ漏れていない」と判断することです。目視や音だけで確認しにくい場所もあるため、現場環境に合わせた点検方法を検討しましょう。なお、設備の運転状態を変更して確認する場合などは、対象設備の取扱説明書やメーカーの保守手順、社内の安全手順を確認してください。
エア漏れは設備管理と省エネの両面で考える
エア漏れ対策は、配管などの状態を確認する設備管理だけでなく、コンプレッサーの運用を見直すきっかけにもなります。中部経済産業局が公開している省エネ事例では、コンプレッサーの運用改善策の一つとしてエア漏れ対策が取り上げられています。
ただし、「エア漏れを修繕すれば、どの工場でも同じ省エネ効果が得られる」と考えるのは適切ではありません。漏れの状態や設備構成、稼働条件などは現場によって異なります。
特定の事例にある削減効果をそのまま自社へ当てはめるのではなく、まずは自社の設備や配管の状態を把握し、改善前後を確認できるようにすることが出発点です。
中部経済産業局「省エネ事例 市川鉄工所」
URL(最終確認日:2026-09-15)
https://www.chubu.meti.go.jp/d33shouene/jireishu/casestudy/38/index.html
コンプレッサーのエア漏れを点検する進め方
エア漏れの点検では、見つけた場所をその場で修繕するだけではなく、発生箇所を記録して対応状況を追えるようにすると管理しやすくなります。対象範囲を決め、確認結果を残し、対応後に再確認する流れを整えましょう。
配管系統を分けて確認する
工場全体の配管を一度に確認しようとすると、どこまで点検したのか分かりにくくなることがあります。そこで、建屋やライン、設備群など、現場で管理しやすい単位に分けて点検範囲を整理します。配管図や設備台帳がある場合は、それらと照らし合わせながら対象を決める方法もあります。確認結果は、次のような形で記録できます。
【エア漏れ点検記録テンプレート】
確認日:
確認エリア:
設備・配管の識別情報:
確認した箇所:
漏れの有無:
確認方法:
対応状況:
再確認日:
漏れ箇所だけを記録するのではなく、「どこまで確認したか」を残しておくと、次回の点検範囲も整理しやすくなります。設備点検の記録方法そのものを見直したい場合は、設備点検をデジタル化するには?紙の点検表を見直す方法とポイントも参考になります。
音や測定機器を使って漏れ箇所を探す
エア漏れ箇所の確認方法は、現場の騒音や配管の位置などによって変わります。配管系統を巡回する方法に加え、超音波測定器などを利用して漏れ箇所を調査する方法を紹介しているメーカーもあります。音による確認については、周囲の騒音の影響を受けることも考慮する必要があるでしょう。
測定機器を利用する場合も、機器を用意すること自体を目的にしないことが重要です。「どのエリアを確認したのか」「どこで漏れを確認したのか」「その後どう対応したのか」を記録できる運用と組み合わせましょう。
圧縮空気設備の具体的な点検や修繕では、安全上の確認が必要です。設備の停止や圧力の扱いなどについては、対象設備のメーカーが示す取扱説明書や保守手順、社内の安全手順に従ってください。
IHI回転機械エンジニアリング「エア漏れ量の削減」
URL(最終確認日:2026-09-15)
https://www.ihi.co.jp/compressor/solution/air_leak.html
見つけた箇所を記録して対応につなげる
エア漏れを見つけても、その場ですべて対応できるとは限りません。生産への影響や必要な部品、作業体制などによっては、後日対応するケースもあります。そこで、発見した箇所には設備や配管を特定できる情報を付け、対応状況を記録します。
【エア漏れ対応管理テンプレート】
発見箇所:
発見日:
対象設備・配管:
確認した状態:
対応担当者:
対応状況:未対応/対応中/対応済み
対応後の確認日:
よくある誤解は、「漏れ箇所を見つけること」が点検のゴールになることです。発見した情報がその後の対応につながらなければ、漏れが残ったままになる可能性があります。「発見→記録→対応→再確認」までを一つの流れとして管理しましょう。
エア漏れ対策を継続するためのポイント
エア漏れへの対応は、一度点検して終わりではありません。確認した場所や対応内容を記録し、その後の状態を振り返れるようにしておくと、設備管理の中で継続して確認しやすくなります。
修繕後に同じ箇所を再確認する
漏れへの対応後は、作業を実施したことだけで完了にせず、対象箇所の状態を確認します。その際、発見日や対応内容、再確認結果を記録しておくと、同じ場所で繰り返し問題が発生していないか振り返りやすくなります。
同じ設備や接続箇所で繰り返し漏れが確認される場合は、個別の修繕だけでなく、設備や部品の状態を保全担当者やメーカーと確認するための材料にもなります。記録を残し、過去の状態と現在の状態を比較できるようにすることが、継続的な設備管理につながります。
圧力設定の変更は独自に行わない
コンプレッサーの省エネ対策では、吐出圧力の見直しが検討されることがあります。中部経済産業局が公開している企業事例でも、コンプレッサーの圧力設定や配管構成を見直した取り組みが紹介されています。
ただし、必要な圧力は接続する設備や工程によって異なります。省エネを目的として、現場判断だけで設定圧力を変更するのは避けてください。
設定を見直す場合は、コンプレッサーと接続設備の取扱説明書、必要な使用条件、メーカーから示されている情報などを確認したうえで検討します。エア漏れの修繕と圧力設定の変更を同じ作業として扱わず、それぞれ必要な確認を行うことが重要です。
中部経済産業局「省エネ事例 市川鉄工所」
URL(最終確認日:2026-09-15)
https://www.chubu.meti.go.jp/d33shouene/jireishu/casestudy/38/index.html
点検記録から優先して確認する場所を見直す
エア漏れ点検を続けると、「どの設備で漏れが見つかったか」「どの箇所で対応したか」といった記録が蓄積されます。その情報を振り返れば、次回の点検で確認したい場所を整理する材料になります。過去に漏れが見つかった設備や対応した箇所について、記録を参照しながら状態を確認できます。
設備全体の改善では、問題を見つけるだけでなく、記録から次の行動につなげることが大切です。現場の業務効率化は何から始める?ムダを見つけて改善する手順でも、現状を整理して改善対象を決める考え方を解説しています。
まとめ
コンプレッサーのエア漏れは、本体だけではなく、配管や継手、チューブ、圧縮空気を使用する機器などを含めて確認することがポイントです。点検するときは、工場内を管理しやすい範囲に分け、どこを確認したのか記録しましょう。
漏れを発見した後は、その場所と状態を記録し、その後の対応と再確認までつなげます。圧力設定など設備の運転条件を変更する場合は独自に判断せず、メーカーの情報や対象設備の使用条件を確認することも重要です。
まずは、「点検範囲を決める→漏れ箇所を記録する→対応後に再確認する」という流れを整えましょう。点検記録を蓄積し、過去の状況を振り返れる状態にすることで、次に確認する設備や箇所を検討する材料として活用できます。